科学と社会と産学連携。―癒着?―

産学連携って癒着じゃねみたいな事を言ってるメンバーがいて、
大学で私費と時間を投じて産学連携で研究した私はちょっと色々書きたくなった。

えっ!?うちの科研費安すぎ!?


1.大学っていうのは地域のインフラを土台に設立されており、
2.更に公立ならガッツリ血税が投入されてる。

=大学研究が経済社会に還元されるのは当然。

はじめに確認しておきたいのは、大学の使命は、教育・研究であり、また、これを通じて社会貢献するということです。大学は、市場価値や利益、雇用創出に関わる企業とは行動原理が異なり、そもそも行動原理が全く違うものが連携するのは容易なことではありません。MITのリタ・ネルソンTLO所長が言われていたように、大学は、産業界との間に「ファイヤーウォール」を構築することが必要であり、大学の本質は「企業」や「起業」ではありません。(*1)

大学研究に期待される社会的役割、
        ↓
科学に期待される社会的機能

これは西欧で科学社会学として発展してきた

スノーの「二つの文化」論(1959)

T.S.クーンの「科学革命の構造」(1962)

とかで

俺ら科学ばっかやってていーの?人文とか政策とかも勉強しなきゃじゃね?総合科学がんばんなき
ゃじゃね?
科学って社会をよくするためにあるんじゃね?
科学社会学の設立(*2)
http://ja.wikipedia.org/wiki/科学社会学



クーンさん君がMITでそういう事いっぱい言って、MITで産学連携とか、学内起業支援とか特許取得が盛んになり日本も追従する形で産学連携ブームがおこった

まず最初は、1870年の開学である。工業に役立つ人材を育成することを志し、産業と活発に協力関係をもちながら典型的な工科大学に育った。次に1930年代になると、サイエンス抜きで工学はできないという新しい考え方が生まれる。これは、第二次世界大戦でのレーダー開発という具体的・全学的経験が基で共有されるようになる。20年かかって、初めてノーベル賞受賞学者が出てくるような組織基盤がうまれるのである。そして1980年末期、アメリカ経済の低迷―特に製造業の苦悩の時期を経て、産業から隔離したことを懸念する声があがり、コンソーシャムやアライアンス等、新しい形の産学連携体系を生んできた。こうした価値観の変遷の歴史がまさにMITの今日の組織や制度の基礎となっている。
http://www.shidaikyo.or.jp/riihe/research/arcadia/0163.html から引用

最近、産学連携(論)ブームでして、文部科学省も含め各省庁が、盛んに産学連携の推進に取組んでいます。大学の研究成果から新規産業を創出することを目標としたり、「大学発ベンチャー1000社計画」を打ち出したりしています
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/journal/0207/bs01.html から引用


MITの学生が起業した事例ではこれが好きです

http://recommend-ted.blogspot.jp/2013/04/blog-post_11.html





最初はMITしかり工学系、技術系の産学連携ばっかだったけど、
今は経済学部を筆頭に人文系でも色々と産学連携やってる。
科研費取りやすいってのもあるはず。

根底は国家予算における学術研究予算が低いこと。
日本は学術予算低すぎ。とくに人文がないがしろにされすぎ。恥ずかしい事だと思う。

主要国の政府負担研究費割合の推移

出典:科学技術政策研究所「科学技術指標2009」
http://www8.cao.go.jp/cstp/project/kenkyu/haihu7/siryo1-3-4.pdf

大学で教授が産学連携の話してたけど、
癒着の程度で言えば地方自治体勤務してた時に聞こえてくる内部情報のほうがやばかった。
額面的にも。
いやー政治家ってすごいなって思いますね(棒)
意外と大学って社会から孤立してる。学者ってボッチ肌の人多いし。

話がずれました。

諸外国の産学連携研究っていうとマイケル・ギボンズのモード論しか知らない
http://www.kousakusha.com/ks/ks-t/ks-t-5-49.html
http://www.nakahara-lab.net/blog/2011/02/post_1771.html



最後に
http://kaikei.mynsworld.com/kaikei/「産学連携」と「業者との癒着」の違い

すっごい長くなった。


*1http://www.shidaikyo.or.jp/riihe/research/arcadia/0163.html 「大学と企業」より
*2私的にはレイチェルカーソンの「沈黙の春」(1962)も。